コロナ禍でのリモートワーク 前編 リモートワークを支えるハードウェアツール
2回に渡って、現在のピクセルグリッドのリモートワークの状況を座談会でお届けします。やはり従来よりオフィスに来る機会は減り、自宅での仕事がメインに。自宅環境をどのように整えているかを詳しく聞きました。
はじめに
新型コロナウィルスによって、リモートワークを行う会社が増えてきました。ピクセルグリッドでは以前からリモートワークの勤務形態でしたので、直接的な影響はなかったのですが、やはりクライアントも含め周囲がリモートワークになったことで多少の変化があったようです。
今回の座談会では、それぞれリモートワークを進めるにあたって、気をつけていること、そして考えたことを中心にお話しました。まだまだ続くコロナ禍において、なにか参考になることがあればと思います。参加者は、ピクセルグリッドの5名です。
- 中村 享介(代表取締役、Jamstackエンジニア)
- 山田 順久(フロントエンド・エンジニア)
- 坂巻 翔大郎(フロントエンド・エンジニア)
- 外村 奈津子(エディター)
- 丸山 陽子(エディター)
なお、紹介しているツールの情報や価格については、座談会開催時(2020年9月)のものです。
コロナ禍でどう?
丸山:もともとピクセルグリッドはリモートワークの会社なのですが、それでもやっぱり3月4月あたりから変わったところって、あったでしょうか?
坂巻:そうですね、オフィスにはまったくもって私は行ってないですけど、別に変わってないですね。僕の想像ですけど、みんな特に変わりはないのかなあ。人と話すときがあれば話したいなあと思うけど、まあ別にいいかな。
中村:リモートワークが基本といえど、コロナ前は勉強会やインプットデー、英会話レッスンなどで、オフィスに来る機会もありましたよね。そういうときには、会えばみんな雑談したりしていたけど、コロナでみんなほとんど出社しなくなったから、直接の会話は減ったなっていうのはありますね。
あとは……そうだな、週一回オフィスで実施してたパーソナルトレーニングが、リモートで自宅でもできるようにしたというところですね。最近はオフィスに来てもいいし、自宅でもいいし、そこは自分で選択するというかたちになってきていますが。
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ピクセルグリッドでは、スタッフが健康で働けるために、パーソナルトレーナーの指導による個別トレーニングを実施しています。
坂巻:コロナ禍においては合宿ができなくなっちゃっいましたよね。どっかに行って泊りがけで、というのは難しそう。そういう時間は欲しいなと思いますけど。
中村:うん。インプットデーは代わりとして機能してるかなという感じはしますけど、合宿はできないですね。
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丸山:ピクセルグリッドはもともとリモートワークを中心にしていましたけど、その中でオフィスってどういう位置づけで考えられていたんですか。
中村:ピクセルグリッドの場合は、オフィスは「コミュニケーションスペース」って考えていて、「作業場所」じゃないんですよね。だから、きっちり人数分の机があるわけではないし。ただ、ミーティングルームはしっかり確保したいよねっていうふうに思っていますけど。
丸山:リモートワーク主体といえども、完全にオフィスをなくすことはないですよね?
中村:そうですね。やっぱり、社員間のコミュニケーションスペースっていう考え方のほかにも、何かイベントをやろうとかなったときに、完全にオフィスがないと、どこかを借りなきゃいけなくなっちゃうし。何かしらオフィスはあったほうがいいんじゃないかなって思っているんですよね。あ、会社の登記をするための住所としても必要ですね。
丸山:最近、同じWeb業界でも、オフィスを移転するという話も聞きますね。
中村:おそらく、みんなオフィスをなくすのではなく、縮小しているんだと思います。全員がオフィスで快適に制作・開発できる広さは必要ないという判断にしたところは、多いんじゃないでしょうか。
オンラインミーティング用のハードウェア
中村:リモートワークだと基本的には自宅で作業しますから、自宅環境を整えるほうが大事だと思っているんですよ。会社として積極的にサポートしているのはディスプレイですね。
坂巻:ディスプレイ購入には補助が出ますよね。僕はもともとは「ディスプレイいらないわ」っていう人間だったんですけど、最近はMacBookの画面とディスプレイとをつなげて2画面でやっていますね。
外村:今まで「ディスプレイいらない派」だったのに、どうしてディスプレイをつなげるようになったんですか?
坂巻:ディレクションが多くなって、2つの情報を見ながらなにかすることが増えたからなのかなあ。実際に動いてる画面見ながら仕様を起こしたりとか。打ち合わせとかも、自分で見る用の資料を片方の画面にしておいて、相手に見せるようなものはもう片方の画面に出しておくとかしています。
丸山:あとはリモートワークと言えば、ヘッドフォンやイヤフォンが必須になりますかね。オンラインミーティング用に。
中村:マイクはたぶん、ゆっきー(山田)が、一番いろいろ試してる気がする。
山田:iPhoneについてるイヤフォンを最初は使っていて、その後PolyのVOYAGER 3200にしました。これはBluetooth接続でマイク側にノイズキャンセルがついているのだけど、音質はあんまり良くないと思っていて。Bluetoothのマイク付きイヤフォンやヘッドセットの一部は、通話中にコーデックが切り替わって音質が悪くなることもあるみたいですね。
そのあと、今はSAMSONのダイナミックマイクを使っています。
ツール紹介:山田使用のマイク
ここで紹介していた、山田が使用しているマイクは「Q2U オーディオインターフェイス内蔵 USBマイク」です。山田は写真のようにスタンドにセットして使っているそうです。
【メーカー】SAMSON 【販売価格】7,000円前後
外村:どうしてマイクをきちんとしようと思ったんですか?
山田:ガジェットっぽいものとか好きで、パソコンの周辺機器はいろいろ買ってみたいというのが根底にあるんですけど、あとはまあ、リモートリモートワークだからなのかなあ。自分と他人をその音声で結ぶインターフェースになるんで、マイクって。良い音質は良い印象になると思うので、そこは投資に値するかなと思っています。
中村:Bluetoothのヘッドセットは、ちょっと遅延もある感じもあるよね。
坂巻:僕は(Bluetooth接続の)AirPods Proも買ったけど、お互いの会話が多い場合には向いていないと思うんですよね。たとえば、今、この座談会は、有線のiPhoneのヘッドフォンですね(編集部より:この座談会収録はGoogle Meetを使ってオンライン上で行いました)。
AirPodsだと、けっこうずれが発生している感じがあるんですよね。相手の会話にかぶって、話がかみ合わないまま、どんどん進んじゃうんです。Bluetoothなので線につながっていないというのは、すごく便利なので、聞いているだけで発言しない場合ならいいんですけど。
【ツール紹介】Appleのヘッドフォン
iPhoneに付属する有線のイヤフォン(イヤーパッド式ヘッドフォン)は「EarPods」(コネクタが3.5mmヘッドフォンジャックのものとLightningコネクタの2種類)、そして単体で発売しているBluetooth接続のイヤフォンは「AirPods」と「AirPods Pro」です。ちなみに、EarPodsも単体で販売しています。
【価格(Apple Store)】
- EarPods with Lightning Connector:2,800円(税別)
- EarPods with 3.5 mm Headphone Plug:2,800円(税別)
- AirPods Pro:2万7,800円(税別)
- AirPods with Wireless Charging Case:2万2,800円(税別)
- AirPods with Charging Case:1万7,800円(税別)
中村:iPhoneの有線の付属のヘッドフォンは音質はいいと思うんだけど、一日中打ち合わせしてると、耳に入れてるのが痛くなるなとは思っていて。だから骨伝導のヘッドフォンに興味があるんですけど、Bluetoothだとさっきも言った音の遅延が気になる。Bluetoothじゃないやつでってなると、選択肢が難しくなっちゃうんですよね。なので、結局まだ試してないんです。
丸山:そういえば、以前のiPhoneに付属していたイヤフォンのコネクタはMacに刺さりますけど(3.5mmヘッドフォンジャック)、今のiPhoneの付属のイヤフォンだとLightningコネクタですよね。
中村:僕はLightningコネクタのほうのイヤフォンを使っていますけど、Macで使う場合はLightningをUSB Type-Cに変換するアダプタを使っています。
なんでかっていうと、僕はオンラインミーティングのときにiPhoneでつなげることもけっこうあって。そのときに2つヘッドフォンを持っていると、バッグの中でからんじゃうから嫌なんですよね。早くiPhoneのコネクタもType-Cになってほしいです。
【ツール紹介】Anker USB-C & ライトニングUSB オーディオアダプタ
中村が使っている変換コネクタは、Anker USB-C & ライトニングUSB オーディオアダプタです。たまにAndroidでもイヤフォンを使うので、USB Type-Cに変換できるので便利とのことです。ただ「MacのUSB Type-Cを1つふさいでしまうのと、この変換コネクタがEarPodsより高い」というデメリットがあると、中村からコメントがありました。
【メーカー】Anker 【価格(Ankerのサイト上)】2,999円(税込)
オンラインミーティング時の雑音をどうするか
丸山:イヤフォンやヘッドフォンでオンライン会議しているとき、周りの雑音とかは気になりますか? AirPodsのノイズキャンセリング機能は優秀だけど、それは自分の周りの雑音が自分には聞こえないだけで、相手には聞こえてるんだよ、という話もありましたよね。
坂巻:そうそう。だから、僕は「Krisp」っていうノイズをミュートするソフトを使っています。自宅で仕事をする場所のすぐ横にエスプレッソマシンがあるんですけど、コーヒー豆を引くような音もほぼ消えます。
【ツール紹介】Krisp
Krisp(日本語サイト)は自分側のノイズが他の参加者に伝わらないようにミュートする、逆に他の参加者からのノイズをミュートする、という機能を持ったソフトウェアです。
KrispとAirPodsのノイズキャンセル機能を組み合わせると、相手に聞こえる音と自分に聞こえる音のどちらも静かっていう状況を作れるんですけど、消せる音にも限界がありますね。
外村:自分のほかに家族などがいると、自宅環境では音に気を遣いますよね。
中村:ゆっきーは仕事部屋があるんだよね。
山田:そうですね。
外村:うちは家族も同じ場所で勉強したりしているときもあるから……。リモートワークに便利なもの、広い家(笑)。
坂巻:家ですよ(笑)。買うしかない! コロナでリモートだしっていうのもあって、引越しを考えるって人はいっぱいいそう。結局、仕事する部屋が必要ってなっちゃうと、マンションだと限界があるなあと思います。
Webカメラの必要性は?
丸山:Webカメラはどうでしょう。別途買ってる人ってあんまりいないのかな? MacBookに内蔵されているので事足りてる感じです?
中村:一応僕は買ってあります。ロジクールのやつですね。社内ではミーティングで顔を映さなくてもいいか、というところもあるんですけど、やっぱりお客さんとミーティングするときに、顔見て話したい人たちが多いんですよね。だから、クライアントとのミーティングだけはそういうカメラ使ったりするんです。
丸山:やっぱり、MacBookの内蔵カメラより、外付けのほうがきれいですか?
中村:うーん、正直、僕は画質とかはあんまり気にしていないんですよね。きれいなほうが、もちろんいいんでしょうけど。一眼レフを使っているきれいな人もいるんだけど。
丸山:げこたんは、一時期、デジタル一眼カメラをWebカメラとして使うことを試したりしていましたよね?
坂巻:インターネットで見て、いろいろ挑戦してましたよ。デジタル一眼を使うとうれしいのは、背景が超ボケるので、自然に背景をごまかせるところですね。
【ツール紹介】デジタル一眼カメラをWebカメラに
坂巻が試した方法は、アプリを使った方法です。カメラをPCで認識してWebカメラとするためのアプリ「Camera Live」と、仮想カメラユーティリティ「CamTwist」(現在は開発中止)を使いました。
1枚目の写真は、Google Meet使用時に、Macの内蔵カメラで写したもの、2枚目の写真は一眼カメラで写したものです。ちなみに、使用カメラはソニーのα6300、レンズはシグマの16mm F1.4 DC DNだそうです。
そのほか、カメラにHDMIキャプチャボードをつなげて取り込む方法や、カメラメーカーの専用アプリを使う方法(後述)もあるようです。
Zoomの場合はバーチャル背景もありますけど、やっぱり違和感あるんですよね。だから、自分にフォーカスがちゃんと当たってきれいに撮れて、背景はそれなりにぼけてるほうがいいかなと。まあレンズ次第ですけど。
Meetの背景をぼかす機能
Google Meetでも、2020年9月から「背景をぼかす」機能が搭載されています。
だからレンズが欲しくなったりするんで。やっぱ広角だな! みたいな。
丸山:(笑)デジカメをWebカメラに使うと、カメラ本体はけっこう温かくなりますか?
坂巻:いや、録画しているわけじゃないんで、1時間やってもほんのり温かいぐらいですね。録画してると、1時間もたないんじゃないかな。
でも、この方法だと、設定とかがちょっとめんどくさいんですよね。夏ぐらいにソニーがソニーのカメラをパソコンとつないでWebカメラとして使えるようにするツールを出したんで、そっちのほうが簡単だと思います。でもWindows用なんで、僕は使えないんですけど。
ツール紹介:Webカメラとして使うための専用アプリ
坂巻が紹介しているのは、ソニー製のカメラをWebカメラとして使うためのアプリケーション、「Imaging Edge Webcam]です。現在Windows10版のみでしたが、Mac版も2020年秋にリリース予定とサイトにはあります。
そのほかのカメラメーカーでも、専用アプリを用意しているところもあります。対応機種が限られているので、それぞれご確認ください。
- キヤノン:EOS Webcam Utility
- ニコン:Webcam Utility
- フジフイルム:FUJIFILM X Webcam
上記以外のメーカーでも、ベータ版としてリリースしているメーカーもあるようです。
坂巻:あとは、打ち合わせじゃなくて、たとえばオンラインカンファレンスみたいなのをしたいときに低画質だと、何かこう、見る側もしょんぼりするんじゃないですかね。やっぱり、画質がいいほうが伝わりやすいかなって感じ。見てる側としては疲れないかなって思います。
中村:セミナー的なことをするんだったら、けっこう画質が大事かなあ。いいカメラがいいかなっていう気はしますね。ゆっきー(山田)もカメラは外付けになっている?
山田:はい。僕は自宅ではMacBookを閉じて、外部ディスプレイをつないで使っているので、MacBookの内蔵カメラが使えないんですよ。なので、外付けWebカメラ使っています。三脚付けたりして。
三脚はいろいろ持ってるんで、状況に応じて使い分けますね。オンライントレーニングでも、三脚を使うと、全身映すことができるんですよ。
あとは、MacBookのカメラだと、ちょっと見下ろす感じに写っちゃうんで、圧が強いかなと思って。三脚で自分の目線にカメラを置いて、正面じゃなく、ちょっと斜めから撮った感じに写したりはしますね。
中村:カメラは普通に座って目線の高さにあるのが一番自然でいいけど、見上げるとだいぶ変だし、見下ろしすぎると今度は監視カメラみたいになるから、あんまり画としてはよくないっていうのがありますね。
山田:そう、それがタイル表示でずらっと並ぶんで、ちょっと圧が。
中村:そうですね。
丸山:オンラインミーティングもいろいろと考えることがあるんですね。さて、次はリモートワークにおける、社員教育や社員間のコミュニケーションについて考えたいと思います。
(後編に続く)
(構成:編集、丸山)